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既にご存じの方も多いかもしれませんが、先日 Monacoin の新しいクライアントバージョンである v0.10.2.2 がリリースされました。

このバージョンからはブロック高 450,000 以降で、Proof-of-Work (PoW) に用いるアルゴリズムおよび難易度調整アルゴリズムが変更されることとなります。

これに伴い、Monacoin採掘プール【ASICpool.info】 に対していくつかの仕様変更を行いましたので、 既に ASICpool.info をご利用の方、およびこれから新しいアルゴリズムにて Monacoin の採掘をされる方は本記事に目を通していただけるようお願いいたします。

新仕様での重要な変更点

新しいバージョンでの主な変更点については公式サイトをご覧いただければと思いますが、 ここでは Monacoin の採掘をされている、もしくはこれから採掘をされる方に対してとりわけ重要だと思われる変更点について説明いたします。

難易度調整アルゴリズムの変更 (DigiShield → Dark Gravity Wave)

ブロックの採掘難易度は、既に生成されたブロックの生成時間間隔を元に自動的に調整されるようになっていますが、 その調整の仕方が Dash (DarkCoin) で採用されている Dark Gravity Wave (DGW) に変更されます。

指数移動平均や通常の移動平均などを組み合わせることで、 これまで Monacoin で利用されてきた難易度調整アルゴリズムである DigiShield よりも滑らかに難易度が調整され、 ブロックの生成間隔が安定することが期待できます。

ブロックの生成間隔が安定化すれば採掘報酬も安定しますので、より計画的な採掘プランを建てることができるようになります。

採掘用ハッシュ関数の変更 (scrypt → Lyra2REv2)

ブロックを採掘する際に用いられるハッシュ関数が Litecoin で用いられていた従来の scrypt から、 Vertcoin で採用されている Lyra2REv2 に変更となります。

Litecoin の scrypt は専用の採掘用 ASIC が生産されており、GPU などの一般的な機器では採掘が困難でしたが、 Lyra2REv2 では専用の ASIC は未だ存在しませんので GPU などでも比較的効率よく[1]採掘ができることが期待できます。

なお、逆に専用の ASIC をお持ちの方はブロック高 450,000 以降では Monacoin の採掘は一切できなくなりますので、 それまでに他のコインを掘るように切り替えていただくようお願いいたします。

アルゴリズムの自動切り替え処理の実装

コインの採掘アルゴリズムが変更される場合には、採掘プールは以下のどちらかの対応を行うことが多いです。

  1. プール運営者は新しいアルゴリズムに対応したサーバを新たに設置し、ユーザには既定ブロック数に達した後に手動にて新しいサーバへ移行してもらう
  2. 既定のブロックに達した後、プール運営者が手動にて採掘アルゴリズムを切り替え、その後にユーザにも手動にて新しいアルゴリズムでの採掘に移行してもらう

しかし、このどちらの方法を取ったとしても、必ず手動で対応しなければ行けない箇所が発生してしまいますので、スムーズな移行ができません。

そのため、ASICpool.info ではサーバ側のソフトを改良し、採掘ポートごとにブロック高 450,000 前後で以下のように挙動が変わるようにしました。

  • 従来の scrypt 用ポート (2001-2007, 5963)
    • ブロック高 450,000 以前……従来通り採掘が可能です
    • ブロック高 450,000 以降……既定のブロック数に達した後すぐにサーバ側との接続が切断されます。また、再接続を行った場合には認証エラーとなります
  • 新設した Lyra2REv2 用ポート (2101-2105)
    • ブロック高 450,000 以前……接続を行うと認証エラーとなります
    • ブロック高 450,000 以降……既定のブロック数に達すると認証が通常通り行われるようになります。また、採掘は通常通り行うことができます
  • テスト用の Lyra2REv2 用ポート (6969)
    • ブロック高 450,000 以前……認証は通常通り行われますが、送信されたシェアは無効なものとして扱われます。クライアント側(採掘ソフト)からはシェアを正常に送信した旨の記録が残ります(Share accepted もしくは yay と表示されます)が、実際にはサーバ側ではシェアは無効なものとして扱われているため、採掘報酬は一切与えられません
    • ブロック高 450,000 以降……既定のブロック数に達すると、サーバ側でシェアが有効なものとしてカウントされるようになり、また報酬も与えられるようになります。

新設したポート番号は従来と同様に、ポート番号によって初期難易度が異なるものになっております。 詳しくは Gettingstarted – ASICpool.info をご覧ください。

ポート番号 6969 は Lyra2REv2 の採掘テスト用となっております。 このポートは正しく採掘できるかどうかの確認だけに利用することを想定していますので、お使いの採掘環境の正常動作が確認されましたら 2101-2105 のうち適切なポート番号へ切り替えてください。

なお、開発にあたっては十分注意をし動作確認を行いましたが、万が一プログラムのバグなどによって上記の挙動が行われなかった場合や、 報酬の支払い処理に何らかの異常が発生したとしても、当プールは一切の保証を行いませんので予めご了承ください。

おすすめの移行手順

従来の scrypt 採掘をされている方

既定ブロック到達以降、当プールから接続を切断されます。 そのため、あらかじめバックアッププールの指定をしていただけると、既定ブロック到達以降は採掘ソフトが自動的にバックアッププールで採掘を行うように切り替わります。

以下に NiceHash をバックアッププールとして指定する、sgminer の設定ファイルのサンプルを掲載します。 ポート番号やユーザ名などは適切に変更をお願いいたします。

新しい Lyre2REv2 の採掘をされる方

既定のブロック数に到達すると自動的に当プールへ接続できるようになりますので、一番目のプールとして ASICpool.info を指定していただき、 二番目以降にバックアッププールを指定していただけると規定ブロック数到達以降に採掘ソフトにより自動的に当プールへ切り替わるようになります。

以下に NiceHash をバックアッププールとして指定する、sgminer の設定ファイルのサンプルを掲載します。 ポート番号やユーザ名などは適切に変更をお願いいたします。

Lyra2REv2 採掘手順

採掘手順の説明記事はこちらからどうぞ。

参考リンク


脚注:

  1. scrypt と比較した場合に効率が良い、という程度であり、世界から見て割高な日本の電気代では必ずしも黒字になるとは限りません